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2014年4月から1年間、私は「住宅用樹脂製サッシの超断熱化に関する研究」に参加しました。本研究は、寒冷地を代表する公的研究機関である【地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 建築研究本部 北方建築総合研究所】等とエクセルシャノンが共同で行ったものです。建築分野における省エネルギー化の手法の一つである「負荷の低減」を考えるときに、壁体に比べ断熱性能が劣る窓の高断熱化は特に重要です。

まず私は、研究が始まる前の2014年3月に、研究の目標値や参考となる先進技術製品を探索するため、ドイツで開催される世界的な窓の見本市である「fensterbau:フェンスターバウ」に参加しました。そこで私は、ヨーロッパでは名実ともに最高級グレードの樹脂サッシを製造している企業に着目し、展示ブースの担当者に様々な質問をしました。

しかし残念なことに、私が日本から来たエンジニアだと分かると、急に対応が悪くなってしまいました。それは日本の住宅に設置される窓は一般的にアルミ製が多く、断熱性能や防露(結露抑制)性能の規制や義務化が、他の先進国と比べ格段に遅れていることを彼らは知っており、日本を下に見ているからでした。負けず嫌いな私としては、彼らの商品性能を超えることを一つの目標に掲げて研究に取り組みました。

北海道を拠点として、樹脂サッシの気密・断熱性能を啓発。寒住法適用を求めて、北海道庁に何度も掛け合った。

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窓は大きく分けて、フレーム部・ガラス部・ガラス周縁(エッジスペーサー)部の3つの要素から構成されます。そして、各要素の断熱性能向上が窓全体の断熱化に繋がります。

まずフレーム部に対しては、フレームの中空部に断熱材を【発泡充填】することを検討しました。発泡充填により、断熱材が中空部に隙間なく配置され、大きな性能向上に繋がります。私としては、この発泡充填技術の確立(充填条件の最適化)に最も苦労を要しました。

次に、ガラス部・ガラス周縁部については、性能向上と軽量化のため、ガラス中空部に低放射フィルムを多層化、さらに従来エッジスペーサーの材質や形状を見直しました。

この他にも様々な要素技術の検討を行い、最終的にUw値=0.63W/(㎡・K)という世界トップクラスの断熱性能を確認しました。

「優良住宅部品」の認定などで社会的認知が向上。樹脂サッシ「シャノンウインド」は多くの技術ノウハウを蓄積し全国へ。

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共同研究が終了した後、本技術を活かして商品化を検討しました。主にフレーム部に対する技術を採用し、究極(Ultimate)フレーム(Frame)の「シャノンウインドUFシリーズ」が誕生しました。

UFシリーズは窓全体の断熱性能(Uw値)を高めただけではなく、フレーム部の断熱性能(Uf値)の向上により、優れた結露抑制効果をもたらします。省エネはもちろん、健康・快適な住環境に寄与する商品です。

今後も窓の様々な性能追及に挑戦し続けるとともに、お客様のニーズを的確に取り入れ、より良い窓を開発していきます。

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